養護学校を卒業して職業訓練校に進学する人、またそのまま就職する人。今回は私が働く職場に今年入ってきた障害を持った子が仕事をする中で本人なりの葛藤ややる気、学校とは違う環境で生活をする変化に本人、周りがどうやって対応していけば良いのか考えて行くことにしました。
実は私の子供ももしかしたら将来同じケースになるのではないか?(私の娘は言語障害と言う障害です)重なって思う部分もあったので記事に残すことにしました。
🎉進学、就職おめでとうございます🎉
もう進学、就職をして時間が経ってしまいましたが、『🎉おめでとうございます🎉』
本人は他の誰かとは違う方法で、言葉にはできないような努力や価値観で大人へ、その親御さんたちはその子たちへ同等とは言えない大きな愛情を時間を濃く投じて心配もあったであろう中、見事に育て上げて一つ大きな階段を一緒に登ることができたこと。お互いがお互いでしか成し遂げることのできないことをやり遂げたこと。実際今の私には障害を持つ娘とのその将来がはっきり見えないので独り立ちをさせることは人生の中で大きな目標です。だからすごい事だと思います。学校、周りの先生のサポートがあってだとは思いますが、一番は親と子が足るに足らない時間と莫大なエネルギーを使って登り詰めたその結果です。本当に『おめでとうございます』
会社に”障害者枠””特別枠”で就職とは?普通と何が違う?
さて、冒頭にもある”障害者枠””特別枠”と言われる企業側の雇用の形は障害を持った人が平等に働ける環境を準備した制度です。昔を知りませんがきっと今では健常障害の垣根は薄まって積極的に企業がそういう環境を用意していることだと思います。
雇用の形は誰でも等しく、面接を行い適材適所や難しい仕事を与えられる人もいます。中でも障害者枠や特別枠の人の場合は仕事に関して言えば10を10やれるわけではなく、面接する時に本人がどのような状態にあるのか?何が出来て何が出来ないのか?ある程度判断をして本人にあった仕事を与えられる流れになっています。
語力が苦手であれば人と接する仕事はさせない。数字が苦手ならば数字に関連した仕事をさせない。このように初期の段階で線引きをして本人が本人のスピードで仕事ができる環境を与える。まずは企業側はこうやってどうやって適応をしてこれから順応して行くのか見極めていきます。
私の職場の例
私が働いている”工場”は自動車部品などのの部品の工具を作っています。
わかりやすく自動車関係とします。
今年障害者枠で入ってきた子は知能が少し低い、見た目にも話していてもわからないくらいしっかりしていますが、障害者枠として就職をしてきました。
面接を経て『語力』に関して少し心配であることと、『記憶』に関しても同じことが言えるそうで、本人が行う仕事は直接的な生産に結びつかない片付けや掃除をメインに仕事をしながら様子を見て行く。というものでした。
本人が仕事を始めて4ヶ月が経とうとしています。仕事を始めた頃と比べて何が変化したかと言うと大きなところで”トイレに30分、1日に何回も籠るようになった”と言うところでしょうか?上司が実際その現場について行ったところトイレに行く前にロッカーへ寄ってスマホをポケットに入れてトイレに向かっていることから”おかしい?”と思ったのでしょう。その場で追及したそうです。それに対して本人は言葉を濁して『スマホは見ていない。お腹が痛くてトイレに行っていました』言い訳にならない言い訳をしていたそうです。そのやりとりが一度ではなく何回もあったようです。
決して本人ではなく周りがいけないと考えて欲しい
※あくまで私なりの見解であります。
私はこの話を上司からされた時に何となく自分が障害の子供を持つ親として話や考え方のすりあわせを上司にさせていただきました。それが、
”集中力の器”
”理解するスピード”
”環境の大幅な変化”
”一つの作業を細分化する”
この部分に注視して見たらどうかと言う事を告げさせていただきました。
上司が悪いわけではありません。本人が対峙してきた人たちの中に今回のようなケースがあった時にどうやって対処したら良いかの経験がないだけですごく悩まれていました。『普通に注意をしたいのだけれど、傷つけてはいけない。慎重に慎重を重ねなければ自分(上司本人)のせいで潰してしまう』それなりにプレッシャーがあるのだと話をしていて感じました。優しくも冷たくも言葉が汚くなりますが”偏見している””特別視をしている”ことも言葉から読み取れました。
それに対して私は上司が悪いわけではない事と、本人が環境の変化や一回りも上の大人達と対等に仕事をしている事は我々一般の社員に比べたらいろいろな面で苦痛に感じる事や窮屈にも、緊張だってするし想像しているよりも我慢させていることは上司としてもそうだし、先輩(自分です)も把握や理解しないと進まないことだと偉そうに伝えました。
就業中にスマホをトイレに持ち込み、規定自体にも違反します。緊急時ならまだしも悪いことです。それは辞めさせるべきではあるし上司が思う注意は正当です。
ただ障害のある子、社会に突然出てきた、養護学校ではエリートだったのかもしれません。必要のないプライドだってあると思います。
一番最悪な結末は『面識のない人に悪いことがバレて頭後な医師に言われること』これだけは避けてあげなければもしかしたら一生トラウマになることもあるだろうし、会社を辞めてしまうかもしれない。悩んでしまったら頼る方法が頼る場所が自分では見つけられずに社会復帰できなくなるかもしれない。
私は大袈裟かもしれませんが、自分の娘と姿を重ね合わせて考えられるリスクを全て上司に偉そうに伝えました。
本人が努力することと周りが準備できることを実行できるようにする
本人は4ヶ月自分のペースで頑張って仕事をしているのは間違いありません。
サボる事なんて知らないと思いますし教わっていないと思います。
きっと彼なりの”休憩”なのだと思います。そう言う一つ一つを私たち仕事の先輩が理解する準備が出来ていない。それなのだと思います。
今回は話の中で4点キーワードを出しました。それについて本人と私たちが気づかなければいけない問題があります。
・集中力の器
人が集中できる時間は何分だと思いますか?8時間労働だから8時間?そうではありません。実は20分、これが本当に集中したときの人の限界値らしいんです。
(国会で書紀する人、手話をする人がだいたいその時間で入れ替わるのがその限界値からきているそうです。)
つまり私が20分集中できたとしたら彼は10分集中できたらすごい事です。こうやって言えるのは私の娘が言語障害で”言語訓練”をしていた時の先生がそうやっておっしゃっていたからです。仕事に置き換えれば、『仕事をやりなさい』と私が言われたらやりますし、やっているのにそうやって言われるのであれば反論だってできます。
自分の意思を伝えられます。ただ彼の場合はどうでしょうか?同じことを言われたら反論できずに苦しみながら自己消化をして理解する前に心が壊れてしまいます。
それは彼にとって『死語』に近いのかもしれません。
縮こまることなく伸びるものがあるのであれば彼にとっては同じ作業を一緒に向き合ってすること、競うのも良いかと思います。トイレにスマホ、知らない人から注意されるのであれば職場内で彼が好きな雑談(鬼滅の刃が好きみたいです)を交えて心をほぐす。そのキャラクターを題にして彼があるべき姿になれるような話の方向に持って行くのも一つ仕事やプライベートのモチベーションになると思います。
・理解するスピード
彼は人の名前をなかなか覚えられません。つまり顔見知りの人の名前を我々が何となく思い出して言えることが彼にはできません。仕事に置いてもそうです。昨日言われたことは覚えていられるんですが1週間前にやった仕事の内容は覚えていない。方法を忘れてしまう。状況としてはそんな感じです。
仕事を好きでいられることは難しいと思います。一度嫌いになったりしたら克服は私も難しいです。それでも仕事です。できることが私の中で思いつくものがあるのなら『記憶の断片』それこそ”雑談”すること、一人でもいいんです。『会社に行ったら鬼滅の刃の話聞いて欲しいなぁ』『あっ!あの人がいるからゲームの話相談しよっ』そんな存在が彼の周りに居れば”この人は自分の事理解してくれる”って思ってくれるんだと思います。
・環境の大幅な変化
養護学校は小中高一貫なので会う人は十何年変化することなく存在します。何かをやり遂げれば褒められ、何か失敗しても許される、失敗している彼を周りの子達が見てもそれを失敗と感じていない。だから彼は失敗を知らない。厳しいことを言うようですが、許される環境の中で育った彼が突然社会に出てくると言うことは取り巻く空気もきっと重いのだと思います。今まで良い悪いの判断では通用しない事が大人の社会に出た事で混乱を招いているのだと思います。トイレにスマホを30分。これは彼が彼なりに心にかかる負担や混乱を落ち着かせようとする行動なのかもしれません。我々はそれを知らず知らずのうちに『逃げている』『サボっている』『悪い事だ』と決め付けてしまっている気がします。
必ずとは言えませんが職場には”真面目な人””バカな人””うるさい人””良い人””適当な人”だいたいそのバランスで人間がいると思います。慣れてくるとその人達の欠点を見つけようとします。なので悪いところばかりが誇張されて良いところを見ようとしなくなります。正直会社の組織は私にはそう見えています。
その中に彼を入れてしまうとどうでしょうか?いられなくなると思います。ただでさえそのような環境の中です。混乱して落ち着かせてどこかカリカリしているような職場環境ならトイレから帰ってきたくはないと思います。
私は昔先輩から言われたことがあります。『絶対に慣れてくると人の粗を探すようになるから〇〇君はずっと人の良いところを見つけてあげてね。それができる子だから』
こんな魔法のような言葉をいただきました。なので大切にしています。
小さなこと、何でもです。かっこいいとかいい匂いとか可愛いとかそんなことでも。髪を切った?そんなことでも気づけつづける人でありたいと頂いた言葉に負けないようにしています。彼のそばにはそうやって寄り添っていきたいです。
(勤務の関係で一緒にいられないので信頼のできる人に伝えています)
・一つの仕事を細分化する
勤めている自動車部品工場はライン作業ではないので、手元の仕事が落ち着いた時に別のヘルプや自分でできる作業を探して助けあうスタイルの仕事の方法をしています。
良くも悪くも仕事ができると言うよりは人間性を問われる仕事です。
彼の場合は手元の仕事が、与えられる仕事が限られてしまうため8時間分の作業がありません。任せたくても任せられない。そのような仕事がたくさんあります。
これに関しては企業側の欠点なのかもしれません。企業の顔、障害者枠を雇うと言う世の中から良い目で見られたい恩恵が欲しいのか、実態は職場へのなすりつけ。私自身無責任だと感じています。でも彼が選んで会社に入った限り無責任で終わらせないように努力ができる一員として見守り続けたいと思っています。彼ができる仕事というのは生産活動に入らない部分ということもあって日々見つけることが難しく、人の目に晒されてしまえば『あいつ何もやってないじゃん』って思われるかもしれません。上司が一番心配している”世間体”です。我々がやる仕事よりも毎日違う課題を見つけながら仕事をやり続けるのは本人もとより私たちで考えても難しく継続して行くのはもっと困難です。放っておけば孤立します。
一つの仕事を毎日同じようにやるのはライン作業をしない我々にとって苦痛なのは職場の誰もが今は理解をしてくれています。なので生産活動をしながら『あっ、これ彼に任せよう』って空気が流れ始めているのは私にとっても喜ばしいことです。
楽な道ではないですがその積み重ねが信用信頼につながり、いつかは本人が感じている壁を突き破ってくれる事を願っています。
コメント